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人材育成 FELLOWSHIP

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【報告】2018年度 韓国研修 NEW!!

第5期 特別フェロー:八幡 浩紀(外務省 大臣官房総務課 課長補佐)

1.研修の概要
 2018年9月4日から7日にかけて,日米パートナーシップ・プログラム第5期(「安全保障研究奨学プログラム」からは通算第19期)による研修として韓国を訪問し,ソウル市内にある研究所・大学において安全保障や歴史分野の研究者との間で活発な意見交換を行った。

 今次研修の前に,セミナーの中で,朝鮮半島は,歴史的に大国との関係のあり方について様々な困難を経験してきた地域であること,明治維新以降,一貫して,朝鮮半島情勢は,我が国の安全保障政策における主要な位置を占め続けてきたこと,日米安保条約の交渉と,朝鮮戦争の勃発が,時を置かずして行われていることからも分かるように,日米同盟と朝鮮半島情勢は,切っても切り離せない関係にあることを学んだことは,現地での様々な意見交換を効果的に行う上で有意義であった。

   

 また,訪問の二日目には,DMZ及び板門店視察を行い,陸上に刻まれた南北の分断線を目の当たりにしたことは,その後の意見交換において南北関係を議論するに当たり極めて有意義であった。

2.議論の概要
 今回の訪問においては,双方が,朝鮮半島の非核化,日本及び韓国の安全保障政策について個人的な見解を披露した後,質疑応答形式で議論を行った。議論の内容は,朝鮮半島の非核化にとどまらず,我が国や米国等が推進している「自由で開かれたインド太平洋戦略」の韓国にとっての意義や,「ミドルパワー」としての韓国自身のアイデンティティ,韓国の政治情勢にまで及んだ。その中で,議論が白熱したのは,米中関係の中で朝鮮半島を巡る情勢がいかなる位置付けにあるか,韓国自身が国際情勢の中で自国の役割をどのように位置付けているか,さらに,その中で,どのようにして日本の安全保障を確保していくべきかであった。

 意見交換の中での気づきの点は以下のとおりである。第一に,韓国国内におけるいわゆる「保守派」と「進歩派」との間で,北朝鮮が非核化に向けてとった措置の評価とそれに伴う米国の対応についての評価がクリアに分かれた。例えば,豊渓里核実験場の爆破について,科学的な評価はともかく,北朝鮮側が一定の行動をとったことに対して,米国側が一定の措置をとるべきかどうか,という点について,「現在,決定的瞬間を迎えているため米国が措置をとるべき」という「進歩派」と,「過去の経緯を踏まえ慎重に対応すべき」という「保守派」ではっきりと分かれた。 


 第二に,在韓米軍の存在・意義については,「保守派」,「進歩派」を問わず極めて幅広い支持が確認され,特に「保守派」の研究者の間においては,米韓同盟は,特定の脅威を対象としたものから,韓国の安全保障政策全般にとって不可欠の存在であるとの認識が幅広く共有されていることが看取された。在韓米軍THAAD配備問題における中国の韓国に対する対応を教訓として,あるべき米韓同盟の形を議論する向きもあり,多数の研究者から率直な見解が寄せられた。


  第三に,「自由で開かれたインド太平洋戦略」については,慶應義塾大学の添谷教授の議論を引き合いに出しつつ,韓国自身は「ミドルパワー」であるとの自己認識に基づいて,様々な見解が寄せられた。


3.感想・謝辞
 研究者の言葉の節々に現れる個人的な思いは,直接議論しなければ捉えられないものであり,隣国として今後さらなる協力が必要とされる韓国について理解を深められたことは,本研修の最大の成果であったと思う。

 今回,韓国研修でこのように実りある貴重な体験が出来たのは,国際交流基金日米センター(CGP)の御後援と平和・安全保障研究所(RIPS)の西原理事長,すべての日程に同行してくださった土山實男青山学院大学教授の御指導の賜物であり,御礼申し上げたい。また,一連の日程を企画してくださった秋元研究員,三百苅研究員,田原研究助手に厚く御礼申し上げる。