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RIPS秋季公開セミナー2019 宇宙の安全保障と日本の役割

 

○RIPS秋季安全保障セミナー2019 「宇宙の安全保障と日本の役割」

 2019年11月20日(水)、平和・安全保障研究所(RIPS)は防衛省の助成を受け、グランドヒル市ヶ谷「珊瑚の間」においてRIPS秋季公開セミナー「宇宙の安全保障と日本の役割」を開催した。

 本セミナーでは、はじめに青木節子(慶應義塾大学大学院法務研究科教授)が「宇宙の安全保障と日本の役割」と題した基調講演を行った。基調講演の中で、青木氏は「宇宙の安全保障」には、「対衛星攻撃を含む武力行使、武力攻撃の抑止といった戦闘領域しての宇宙」という狭義の安全保障と「長期的に安定した宇宙空間の利用を可能とするための努力」という広義の安全保障の二つの捉え方があると指摘した。

 一方で、青木氏は宇宙の安全保障は、「宇宙空間からの情報を利用して地上の安全保障を高める努力」として論じられる場合があるとも指摘した。宇宙空間からの情報の利用には、衛星データの軍事作戦への利用、いわゆる「宇宙のミリタリゼーション」という側面がある。加えて、より広義には気候変動や海上不法行為の調査、自然災害や感染症の防止・被害軽減、国境管理など「人間の安全保障」を含めた広義の安全保障への衛星データの利用も含まれるという。そして、青木氏は、宇宙の問題の特徴として、市民生活の向上という「安全」の問題と軍事を中心とする「安全保障」の問題が「一体化」していることを指摘した。

 こうした宇宙の安全保障の考え方と日本の安全保障はどのようなかかわりを持っているのか。青木氏は「宇宙空間の安全保障」と「日本の安全保障のための宇宙空間の利用」の二つの点から以下のような主張を行った。

 まず、「宇宙空間の安全保障」において日本がすべきこととして青木氏は、宇宙での抑止と抑止が破られた場合の対応の整理、日米同盟の宇宙空間への適用、インド・太平洋の友好国との協力を挙げた。そして、「日本の安全保障のための宇宙空間の利用」では、防衛省専用衛星や政府の安全保障衛星の整備、商用衛星を用いた自衛隊の任務遂行、そして、インド・太平洋戦略に資する宇宙利用を日本が取るべき施策として挙げた。そして、広義の安全保障という観点から日本が取るべき政策として、青木氏は宇宙の安定的利用のための国際連合の規範形成をリードすることと、米国の宇宙交通管理政策との調和を図ることの2点を挙げた。  

 青木氏の基調講演の後、青木氏に公益財団法人未来工学研究所研究参与の西山淳一氏と元航空幕僚長(現株式会社IHI顧問)の片岡晴彦氏を加えた3者でパネルディスカッションを行なった。 パネルディスカッションではまず西山氏が民間企業と宇宙の安全保障とのかかわりについて報告した。西山氏は宇宙が安全保障と民生の双方に利用できる「デュアル・ユース」の時代から宇宙領域における活動が人間社会の様々な場面に影響を与える「マルチユース」の時代に移りつつあると主張した。さらに、そうした宇宙領域の影響力の拡大に合わせて、宇宙開発においても民間企業の活動が活発になってきていると指摘し、諸外国では宇宙開発を行う民間企業を政府が積極的に支援していることを重要な点として挙げた。そして、西山氏は、日本政府は安全保障目的の宇宙利用の推進、政府予算による基幹事業の維持、そして民間事業の拡大を進めるべきであると論じた。

 つぎに片岡氏は、宇宙の安全保障に関する日米協力の方向性について報告した。片岡氏は、対衛星兵器のような宇宙システムへの攻撃能力の開発や極超音速兵器が米国にとって新たな脅威となっていると論じた。そして、米国はこうした新たな脅威に対応するため米軍の組織改革及び宇宙における同盟の強化を進めていると指摘した。そして、日本と米国との宇宙領域における協力の方向性として、宇宙監視(SSA)や宇宙交通管理(STA)などを挙げた。 パネリストの報告の後、フロアからの質疑応答も受けて活発な議論が展開された。また、本セミナーには、平日にもかかわらず80名以上の参加があり、宇宙の安全保障に関する関心の高さを示していた。

 

(参考情報)

日時 11月20日(水)14:00~17:00 (13:30より受付開始)
プログラム

14:00 開会の挨拶

14:05 【基調講演】

 「宇宙の安全保障と日本の役割」

   青木 節子(慶應義塾大学大学院法務研究科教授)

    【休憩】

15:15 【パネルディスカッション】

 《司会》青木 節子

 《パネリスト》

  ○西山 淳一(公益財団法人未来工学研究所研究参与)

  ○片岡 晴彦(株式会社IHI顧問/元航空幕僚長 空将)

  質疑応答

16:55 閉会の挨拶

会場

グランドヒル市ヶ谷 東館3階 珊瑚の間

「市ヶ谷駅」より徒歩3分(アクセス)※外部サイトに移ります。

参加費

一般 3,000円

法人・個人会員 2,000円

学生 1,000円

主催 一般財団法人 平和・安全保障研究所
助成 防衛省

お問い合わせ

一般財団法人 平和・安全保障研究所

秋季セミナー担当

【TEL】03-3560-3293(平日10:00~17:00)

【E-mail】rips-info@rips.or.jp