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第10回 RIPS 公開セミナー2012「中国、宇宙、武器輸出-日本の安全保障政策を考える-」

 第10回RIPS公開セミナーを9月20日(木)、27日(木)、及び10月4日(木)の3日にわたり、東京・市ヶ谷のホテルグランドヒル市ヶ谷で行った。

DSCF1647.JPG 第1日目の講演では、最初に1949年以来の政治体制の不変性と経済のDSCF1653.JPG変化とのねじれがもたらす中国特有の状況について指摘がなされ、さらに2012年9月に起きた大規模な反日デモのいくつかの特徴が指摘された。その後、この反日デモが中国の現在の政治経済体制を投影するものであり、来る第18回共産党大会の開催を控えて、党の中心メンバーのなかに何らかの動きがあったであろうとの指摘がなされた。最後に、日中の経済的な結びつきを含めた現在の中国の経済状況と、今後の中国をめぐる国際関係について論じられた。そこでは、各国と中国の関係が抱える課題のテストケースとしての日中関係の推移を、世界が注目していることを指摘して、講演は盛況のうちに終了した。


 今回のセミナーは、テーマ・講演内容共に、非常に時宜を得たものであった。質疑応答においても参加者の関心の高さが窺われ、2012年度RIPS公開セミナーの初日として非常に有意義なものとなった。

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 第2日目の講演には、慶應義塾大学の青木節子教授を講師にお招きして、「宇宙の安全保障と日本(特に自衛隊)の役割」と題してご講演頂いた。

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 講演では、冒頭で安全保障のための宇宙利用の現状について解説がなされ、さらに関連する国際法と宇宙空間における安全確保への国際社会の努力について、法解釈や多国間協議の観点から指摘がなされた。最後に周辺諸国や主要国の宇宙政策と日本の政策を比較した上で、日本の政策の問題点と望ましい政策について、幅広い見地から論じられた。

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 今回のセミナーでは、「宇宙の安全保障」という日本および世界の安全保障にとって極めて重要な課題について、多くの新たな知見が示された。それもあり、質疑応答においては幅広い観点から様々な質問が寄せられ、参加者の関心も高かった。

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 第3日目は、シンポジウム形式であり、西山淳一氏(元三菱重工業株式会社航空宇宙事業本部副事業本部長)をモデレーターに5名のパネリストをむかえて行われた。パナリストは日・米・欧を代表する防衛関連企業によって構成された。三菱重工業株式会社からは、小林孝氏(同社代表取締役常務執行役員航空宇宙事業本部長)、NECからは近藤邦夫氏(同社航空宇宙・防衛事業本部長)、レイセオン・ジャパンからはジェラルド P. ローレス氏(同社最高経営責任者)、BAEシステムズからは、アンソニー R. エニス氏(同社東京事務所北東アジア総支配人)が登壇した。

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 なお、当初登壇の予定であった、ボーイング・ジャパンのJ・F・アーミントン氏が欠席となり、NMVコンサルティング上級顧問のケビン・メア氏(元米国務省日本担当部長)がその代役を務めた。防衛関連企業のパネリストからは、武器輸出三原則の緩和と防衛予算の縮小という構造的な問題を背景にした、日本の防衛産業のあり方と国際的かつ多角的な協調関係の進展の問題が論じられた。なかでも、日本の防衛研究開発投資が諸外国に比べて非常に少なく、国際競争力のある防衛技術の育成が困難であろうとの指摘もなされた。国際競争力のない企業は淘汰される運命にあり、したがって、企業は従来以上に、広範な高度民生技術の防衛分野への応用を進めていく必要があるとの見方が示された。
 また、メア氏からは広く日米同盟の観点から防衛産業に関する議論が提示された。メア氏は日米同盟の非対称性を指摘した上で、米国側から度々提出される責任分担論の視点から、武器輸出三原則の緩和に肯定的な評価が下された。

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参 考 情 報

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第1日目:「中国は変わるか-第18回党大会を迎えて」

日  時
2012年9月20日(木) 15:00~17:00
講  演
国分 良成 氏 (防衛大学校 学校長)

第2日目:「宇宙の安全保障と日本(特に自衛隊)の役割」

日  時
2012年9月27日(金)15:00~17:00
講  演
青木 節子 氏 (慶應義塾大学 総合政策学部 教授)

第3日目:「新しい武器輸出政策と日米欧防衛企業の対応」

日  時
2012年10月4日(木)15:00~18:00
パネル司会
西山 淳一 氏 (元 三菱重工業 航空宇宙事業本部 副事業本部長)
パネルディスカッション
J. F. アーミントン 氏(ボーイング・ジャパン 副社長)
A. エニス 氏(BAEシステムズ 北東アジア総支配人)
近藤 邦夫 氏(NEC執行役員兼航空宇宙・防衛事業本部長)
小林 孝 氏(三菱重工業 航空宇宙事業本部長)
ジェラルド P. ローレス 氏(レイセオン・ジャパン 最高経営責任者)

(肩書は講演当時のもの)

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